事例を知って事前に回避!不動産売却時のトラブル【告知義務】編

不動産は大きな買い物であり、建物と土地という実物資産なので、いろいろ不具合が生じることもあります。

そのため、売主の立場から買主に「告知」しなければいけない義務があり、その義務を怠ると罰則になるケースもあるのです。
そこで今回は、事故物件における告知義務に関して、トラブルになりがちな点を解説していきます。

事故物件とは?

事故物件の告知義務に関するトラブルに巻き込まれないためには、まず事故物件とはどのような物件か理解しましょう。

事故物件とは、言い換えると「心理的な瑕疵(欠陥)がある物件」と言えます。

つまり、買主がその物件に住むことで心理的なマイナスなことが生じる物件が事故物件です。  

たとえば、その物件で自殺があったり殺人があったりと、人の死にまつわる物件はきちんと告知しないといけません。
自殺や殺人などを気にするかしないかは人によって異なりますが、このような事件があると、多くの人がその物件に「住みたい」と積極的に思わないのは想像できます。

ケースとしてはそう多くはありませんが、そんな事故物件についての告知義務については理解しておきましょう。
結論からいうと、事故物件の告知義務についてはケースバイケースですので、告知するかしないかの境界線は曖昧と言えます。

「迷ったら告知する」のが鉄則ではありますが、告知することで売却しにくくなるのも事実です。
そのため、以下で解説する一般論を参考に、告知するか否かは判断しましょう。

 

場所と時期について

後述する事例にも出てきますが、事故が起きた場所と時期は告知義務に大いに関係してきます。
くり返しますが、告知義務に該当するかはケースバイケースなので、あくまで参考として理解しておいてください。

場所について

一般的には、事故があった場所で告知義務があると判断されるのは、以下の場所と言われています。

  • マンションや一戸建ての建物内
  • マンションや一戸建ての室内
  • マンションの共用部(外部廊下やエントランス)
  • 一戸建ての庭など敷地内

しかし、例外もあります。たとえば、3棟構成で総戸数1,000戸を超えるようなマンションで、100m以上離れている棟の1室で自殺があった場合に告知義務はあるでしょうか?
距離的には別のマンションと言っても良いです。そのため、このようなケースの告知義務は、その自殺の内容(社会的影響力)や、自殺があった時期によって異なります。

また、仮に自動車事故があり、歩行者が死亡したとします。そして、その事故自体は公道で起こり、死亡した人の体の一部が敷地内に入っていたとします。
このときも、やはり事故の内容や時期などによって告知義務の有無は変わってくるのです。

これが、「告知義務はケースバイケース」といった理由でありますが、とにかく自分の物件と少しでも関係する場所で事故があった場合は、告知義務になる可能性がある点は認識しておきましょう。

時期について

実は、一般的には事故物件の告知は「7年」と言われています。
これは、後述する判例に基づいての一般論ですが、必ずしも7年経過すれば告知しなくて良いというわけではありません。

たとえば、50年前に起きた殺人事件を「告知しなかった」として、売主の責任が問われたことがありました。
これは、殺人事件の内容が猟奇的な殺人であり、近隣住民は50年経った今でも皆知っているというレベルの事件だったからです。

このように、目安として7年と理解しておくのは良いですが、事件の内容によって義務違反かどうかは変わってくる点も理解しておきましょう。

 

自殺が起きた賃貸物件の事例


平成26年9月の大阪高裁により判決が出たトラブルで、全129戸のマンションの1戸で、1年数か月前に自殺があった事例を紹介します。
これは賃貸物件ですが、売却する際も参考になる判例です。

概要

Aさんは、あるマンションの1戸を所有しており、その部屋で1年数か月前に自殺がありました。
その後、AさんはBさんに売却し、Bさんは賃貸の募集をかけCさんと賃貸借契約を結びましたが、Bさんは自殺があった旨をCさんに伝えませんでした。

しかし、入居後にCさんは、その部屋で自殺があったことを知り、Bさんに契約破棄を求めてトラブルになった事例です。

結果

裁判の結果は、「信義則上告知すべき義務があった」としてBさんの非を認めた形です。
ここで重要なのは、「1年数か月」という期間は、たとえ賃貸であっても居住者が心理的瑕疵を負うと判断されたという点と、「賃貸人が知っていたと判断された」という点です。

仮に、売買であれば買主の心理的瑕疵は賃貸よりも重いと考えられます。
そのため、当然ながら自殺して1年数か月という期間が経過しても、告知義務は必要と判断できるでしょう。
また、このケースでは貸主は「自殺の事実を知らなかった」と主張したようです。

しかし、裁判所の判断では「知っていた」と認定されており、知っていたのであれば告知しなければいけないという流れでこの判決が出ました。

対処法

売主の立場からすると、事故が起こったのはいつか?それを知っているか?という点に気を付ける必要があります。
仮に、本当に知らなくても「知っていた」と判断されれば告知義務に問われます。

そのため、特に中古で購入した物件であれば、今一度事故物件に該当する項目がないか確認してみることが重要です。

宅地建物取引士 上野
最近は、「大島てる」というサイトで事故物件を調べられるので活用してみるのも良いでしょう。

 

複数の事例から学ぶ

次は、複数の事例から告知義務違反について学びましょう。

物置内での自殺

一戸建てを購入しようとしたTさんは、所有者が家に付属している物置内で自殺したことを知りました。
ただし、この自殺は物置内でされたものですが、実際に死亡したのは搬送された病院で、さらに4日経過した後のことです。

そのため、売主は買主に告知をせずに売買契約を結びましたが、契約後に買主が事実を知り契約解除と売買代金の返還請求を求めました。
結果的に、買主の主張が通り、売主に契約の解除と代金の返還処理を命じたという結論です。

この自殺は、6年11カ月前の事例ではありますが、買主の心理的瑕疵の解消にはならないと判断された点は注目すべきでしょう。

 

告知義務違反にならなかった事例

ある家の敷地内の蔵で、前所有者の内縁の夫が首つり自殺をしました。
この蔵は、家の売買契約前に取り壊され、前所有者からYさんに売却されています。
そして、YさんからVさんに新たに売却されたときに、YさんはVさんに自殺があった旨を告知しませんでした。

事実を知ったVさんは、売買契約の解除と代金の返還を求めましたが、このケースでは告知義務があるとは認められずに契約の解除はできませんでした。
鍵となるのは「転売している」点と、「自殺が7年前である」という点、そして「蔵を取り壊している」という点です。

この3つは、告知義務ありと判断された前項と異なる点になるので、「7年経過」というのは告知義務が消えるかどうかの一定の目安となるでしょう。
また、瑕疵の対象(今回は蔵)が現存するか、そして転売しているかという点も重要です。

もちろん、この3要素が揃っているからといって、必ず告知義務が消えるわけではありません。
しかし、仮にこの3つの要素がある場合は、告知義務違反にならないこともあるので、弁護士などに相談してみると良いでしょう。

まとめ

このように、事故物件の告知義務は明確な定義がありません。
ただし、上述した事例は理解しておき、目安として認識しておきましょう。
その上で、告知義務があるかどうか迷ったときには、弁護士などと相談して判断することをおすすめします。

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