相続した不動産は放棄できる!?不動産の相続放棄について

「相続放棄」という言葉を耳にされたことがあるかと思います。
相続が発生した際、相続財産よりも借金などの負債の額が多い場合、相続を放棄することができます。
その場合、財産のみを相続して負債を放棄することはできません。

では、預貯金等の財産ではなく、不動産を相続することになった場合、相続放棄はできるのでしょうか。

宅地建物取引士 山野
今回は不動産の相続放棄について詳しくご説明いたします!

相続放棄はできるが、所有権の放棄はできない

結論から言うと、相続した不動産の相続放棄は可能です。

ただし、「預貯金等の財産は相続するが、不動産は相続放棄する」ことはできません。
すべてを相続するか、相続放棄するかの選択となります。

相続人となる方全員が不動産の相続放棄を行うことで、不動産を所有する方がいなくなります。
その場合、民法第239条の2「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」の定めにより、国のものになります。

しかし、所有権は変わらず相続した方に属することになります。
相続放棄は可能でも、所有権の放棄まではできないのです。

相続放棄をした場合、固定資産税の納付義務はなくなりますが、その不動産の管理義務は所有者に課せられることになります。
これは民法第240条「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」と定められています。

宅地建物取引士 山野
わかりやすくいえば、別の誰かがその不動産の管理を始めるまでは、相続人が管理をしなければならないということです。

相続人全員が相続放棄をする必要がある

相続には、優先順位があります。
被相続人の配偶者は第一相続人となります。

配偶者が相続放棄を行った場合、次の優先順位は子に、子が既に死亡している場合は孫に継承されます。
子の次は被相続人の両親や祖父母、最後に兄弟姉妹となります。
この順番で相続放棄を行い、全員が相続放棄をすることで不動産の相続放棄が完了します。

相続放棄をしなかった人がいた場合、不動産はその人が相続されたことになります。
所有権、管理責任、その他すべての権利と義務をその人が引き継ぐことになります。

「相続財産管理人」の選任で管理義務を免除してもらう

相続放棄をしても、不動産の名義は自分となり、管理責任が発生します。
しかし、管理する義務が課せられても、管理ができないケースは多々あります。

東京に住んでいる方が、遠隔地となる地方の実家の不動産を相続し、相続放棄をした後、管理責任を義務付けられても、十分な管理ができるものではありません。

実家近くの不動産管理業者等に管理を委託すれば、その費用がかかります。
固定資産税が免除されても、また別の費用が必要になります。

不要な不動産の管理のために費用をかけたくはないですね。
その場合、不動産の所有者となった相続人は、相続財産管理人を選任してもらうよう裁判所に申し立てを行うことができます。
それによって、相続財産の管理責任を免れることができます。

ただし、相続財産管理人の選任には、数十万円から100万円ほどの予納金など高額な費用がかかります。
また、相続財産管理人の報酬を支払い続ける義務が生じるため、管理会社に委託をする方法とさほど変わらないか、かえって割高になることもあります。

相続して不動産を売却する


相続放棄をせずに、そのまま相続して、自分で売却先を探す方法もあります。

相続放棄をして、その不動産が国の所有になった場合、自由に売却することができなくなります。
管理義務のみを課せられるのです。

相続しても相続放棄をしても、いずれにしても管理の義務があるのなら、いっそのこと相続してしまい、売却先を探す方法も選択肢のひとつです。

相続放棄は、相続の事実を知った日から3カ月以内であれば手続ができます。

さらに、その期間を延長してもらうこともできます。
「相続する資産と負債の全容を調査することに時間がかかるため、さらに日数が必要となる」といった申立を家庭裁判所に行うことで、「熟慮期間の延長」を認めてもらうことができます。
相続するか相続放棄をするかを決定していないその期間内に売却先を探し、契約をすることで、相続した不動産を手放すことができます。

ただし、その不動産が資産価値のない山奥の荒れ地などであれば、買い手がつかないこともあります。

いずれにしても、不動産の売却は個人で簡単にできるものではないので、不動産仲介会社に査定を含めた処分方法の相談をすることが必要でしょう。

また、仲介ではなく、不動産の買取を行っている会社に売却してしまう方法もあります。
この場合、仲介の売却よりも安く買い取られる可能性もありますが、早い処分を考えるのであれば買取に出すことも有効です。

ただ、あまりにも資産価値のない不動産の場合は、買取を断られることもあります。

寄付をして所有権を移転する

売却が困難であれば、無償で寄付をして所有権を移転する方法も考えてみましょう。
しかし、寄付の申し出をしても、必ず受け入れがなされるとは限らないと考えておきましょう。
「タダでもいらない」「もらっても使いみちがない」と断られるケースもあります。

自治体に寄付する

まず、その不動産の属する自治体に寄付を申し出てみましょう。

ただし、寄付が受け入れられる可能性は低いと言わざるをえません。
その不動産を公益のために使用できると判断されなければ、寄付は受け入れられないと考えておきましょう。

ふるさと納税制度のように、現金の寄付であれば財源として直接活用することができますが、使いみちのない不動産を寄付されたところで、管理に費用がかかるだけで自治体側にメリットがありません。
そのため、不動産の寄付は簡単に受け入れられるものではないのです。

それでも”だめもと”で申し出てみましょう。

隣地の所有者に寄付する

相続した不動産に隣接する土地の所有者に寄付をする方法もあります。
自分の所有地が広くなることで何かとメリットが生じることになるでしょう。
必ず寄付を受けてもらえるとはかぎりませんが、申し出をする価値はあります。

気を付けるべきことは、寄付という名目での譲渡であっても、贈与税の課税対象となることです。
贈与税には110万円の基礎控除があるため、寄付する不動産の評価額が110万円以下である場合は、非課税となります。
110万円を超える場合でも、売却が困難で、寄付するしか処分方法がないような不動産に高い評価額がつくとは考えられませんので、税額はさほど高いものにはならないでしょう。

所有権を移転する登記費用は別にかかってきます。
原則として、新たにその不動産の所有者となる側が登記費用を払うことが慣習となっていますが、場合によっては費用を折半にするなどの譲歩が必要になるかもしれません。

その個人間の寄付であっても、必ず「贈与契約書」を作成しておきましょう。
契約書をとりかわすことが、後々のトラブル回避につながることも多くあります。

公益法人に寄付する

公益法人に不動産を寄付する方法もあります。
社団法人、財団法人、NPO法人、寺社などの宗教法人、学校法人など、公益性の高い非営利団体がこれにあたります。

公益法人側が寄付の受け入れに応じた場合、その寄付は、税制上の優遇措置を受けることができます。
営利法人への寄付であれば、寄付をした側に譲渡所得税が課せられることがありますが、公益法人への寄付なら非課税となります。
これは、教育・文化・福祉活動に貢献する公益性の高い行為とみなされるためです。

ただ、その優遇を受けるためには税務署の承認を受ける必要があり、手続きに少し手間がかかるようです。

1人で悩まず、相続人全員で相談を


どのような方法をとるかは、相続人全員で話し合いをする必要があり、
不動産仲介会社に相談を持ちかけることが有効です。
その不動産にどれだけの価値があるのか、そして、どのような方法をとれば最良となるのかについて相談してみましょう。

相続は突然起こることもあり、どう対処していいのかわからないことも多々あります。
弁護士や税理士だけでなく、不動産に関しては不動産のプロに相談することが得策です。

宅地建物取引士 山野
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