収益物件の売却にかかる譲渡所得の計算方法と確定申告について解説

収益物件の売却
  • 収益物件を売却したら税金はいくらかかるの?
  • そもそも税金はどんな時にかかるの?

不動産を保有している方なら、誰しも売却した場合に税金がいくらかかるのか心配したことがあるのではないでしょうか。

特に収益物件の場合、思ったとおりの価格で売却できたとしても予想外に税金が高くて結局手元に残るのはほんのわずかになってしまった、というケースもあります。

また、確定申告をしておけば損失が出ても還付されてお金が戻ってくるというケースもあるため、事前に収益物件の売却にかかる譲渡所得の計算と確定申告についてきちんと理解しておく必要があります

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収益物件の売却にかかる譲渡所得とは

収益物件

それでは、実際に収益物件を売却したらどのような形で税金がかかるのかを具体的な税率を含めて説明していきます。

 

譲渡所得とは

マイホームではなく不動産投資用の収益物件を売却すると、その所得は譲渡所得に分類されます。
譲渡所得とは資産の譲渡による所得を指します。

注意が必要なのは土地や建物ではなく山林を譲渡して所得を得た場合は、譲渡所得ではなく山林所得に分類される点です。

税率が変わってきてしまうので十分に気をつけてください。

 

復興特別所得税

平成23年12月2日に東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号)が公布され「復興特別所得税」及び「復興特別法人税」が創設されました。

そして、平成25年(2013年)から平成49年(2037年)までの間、所得税を納める場合にプラス2.1%の割合で復興特別所得税が加算されることになっています。

 

住民税

譲渡所得のような所得税が国税であるのに対して、住民税は地方税に該当します。

住民税も所得に課税され、分離課税方式を採用しているため、収益物件の売却所得に対して課税れます。

 

譲渡所得の計算方法

譲渡所得の金額は、「総収入金額」-(取得費+譲渡費用)で計算します。

そして譲渡所得に税率を掛けることによって税額を算出します。

 

総収入金額とは何か、いつ計上するか

収益物件を売却した際の価格、つまり受け取った金額が総収入金額になります。
ではいつの時点で計上されるのでしょうか。

原則としては、契約日ではなく引き渡し日、つまり決済日となりますが、自由に選択をすることもできます。

 

取得費とは何か、どのように計算するのか

収益物件の譲渡所得を算出する際に、その収益物件を取得した費用を控除することができます。

取得費は具体的には収益物件の購入代金、購入時に支払った仲介手数料、測量費用、建物建築費用、土地の造成費用などが代表的です。

土地は価値が減少しない資産なので減価償却されませんが、建物は経年により価値が下がってきますので、取得費も減少分を控除した金額で算出します。

例外として、相続した物件や遺贈や贈与で取得した物件の場合は、元々いくらで取得したのかが分からない場合があります。

この場合は実際の取得費の代わりに概算取得費を計算することによって、所得費と見なすことができます。
概算取得費は「譲渡による収入金額の5%」です。

また実際の取得費が分かっている場合でも、概算取得費と比べて取得費が小さい時は大きい金額の方、つまり有利な金額を取得費として計上することができます。

 

収益物件を相続か遺贈で取得した時だけできる取得費加算

相続・遺贈で取得した収益物件を、相続開始の翌日から、相続税申告期限の翌日以降3年以内に譲渡した場合には、その譲渡した収益物件に対応する部分の相続税額を取得費に加算することができます。

 

譲渡費用とは何か、どのように計算するのか

譲渡費用とは、譲渡のために直接必要になった費用のことです。

具体的には、以下の費用が挙げられます。

  • 売却時に不動産業者に支払った仲介手数料
  • 売却のために借家人に立ち退いてもらった場合の費用
  • 収益物件を譲渡するために建物を壊した場合には建物解体費用
  • 契約書に貼付した印紙税
  • 借地権の移転の際に地主に承諾してもらうための承諾手数料
  • 収益物件を一度売買契約したが有利な条件が他にあったのでその契約を解除した時の違約金

逆に、譲渡費用にならないものとしては修繕費、固定資産税などがあります。

 

譲渡所得の税率の算出方法

このように「総収入金額」-(取得費+譲渡費用)が分かると、次に税率の計算をおこないます。

所得税の税率は収益物件を所有していた期間に応じて決まっています。

譲渡所得の場合は、取得の日の翌日から売却した年の1月1日までの所有期間が5年以下か、5年を超えるかで税率が大きく変わってくるのです。

譲渡の場合に注意が必要なのは売却した年の1月1日が判定日になるので、その年内であればどの日に売却しても所有期間が変わらない点です。

初心者の不動産投資家がやりがちなミスとして、例えば2010年8月1日に取得した収益物件を2015年10月1日に売却しようと思い、所有期間は5年2ヶ月なので長期譲渡所得になるだろうと誤った判断をしてしまうースです。

この場合は、2015年の1月1日が基準日なので計算上の所有期間は4年8ヶ月となり、5年以下なので、正しくは短期譲渡所得になります。

 

短期譲渡所得とは

収益物件の所有期間が5年以下の場合は、短期譲渡所得となります。

所得税の税率は30%です。

復興支援所得税は、30%×2.1%で0.63%です。

 

長期譲渡所得とは

収益物件の所有期間が5年を超える場合は、長期譲渡所得となります。

所得税の税率は15%です。

復興支援所得税は、15% × 2.1%で0.315%です。

 

住民税の計算方法

住民税も所有期間に応じて税率が変わります。
期間の区切りは所得税の譲渡所得と同じです。

収益物件の所有期間が5年以下の場合は、短期譲渡所得となります。
短期譲渡所得の場合、住民税の税率は5%です。

収益物件の所有期間が5年を超える場合は、長期譲渡所得となります。
長期譲渡所得の場合、住民税の税率は9%です。

 

税率のまとめ

所得税と住民税を所有期間に応じてまとめると、短期譲渡所得の場合は所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%の合計20.315%です。

これに対して、長期譲渡所得の場合は所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%の合計39.63%です。

この差は非常に大きく特に短期譲渡所得は4割近くが税金として納税しないといけないため注意が必要です。

 

譲渡所得の具体的な計算方法

具体例として、収益物件の価格(総収入金額)が5,000万円、取得費が4,250万円、譲渡費用として仲介手数料は150万円、司法書士報酬が50万円、銀行の繰上げ返済手数料30万円、借家人の立退費用が20万円のケースで課税される税金を算出します。

譲渡所得は「総収入金額」-(取得費+譲渡費用)で算出されるため、「5000」-(4250+150+50+30+20)=500万円が譲渡所得です。

 

所有期間が5年以下の場合

所有期間が5年以下の場合は、500万円の39.63%が課税されます。

具体的には500万円 × 39.63%=198万1,500円(内訳は所得税153万1,500円、住民税45万円)です。

 

所有期間が5年を超える場合

所有期間が5年以下の場合は、500万円の20.315%が課税されます。

具体的には500万円 × 20.315%=101万5,750円(内訳は所得税76万5,750円、住民税25万円)です。

このように、所有期間が異なるだけで大きく手元に残る金額は変わってきてしまいます。

特に基準日近くの売買の場合は、きちんと専門家にシミュレーションをしてもらう必要があります。

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収益物件ではなくマイホームの売却だと軽減される場合

なお、不動産の売却に関わる税金として非常に似ていて紛らわしい制度があります。

それは居住用財産の譲渡の特例です。

これらは居住用財産にかかる特例なので、収益物件の売却時には適用されないことが多いのですが、同じ不動産売却時の話なので一緒に記載されることが多いです。

 

3,000万円の特別控除の特例

居住用不動産を売却する場合、譲渡所得から3,000万円を特別控除する制度があります。

つまり自宅のような居住用財産を売却して、譲渡所得が3,000万円以下であれば課税されないということです。

ただし、この制度は、前年と前々年に適用を受けていると使えません

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所有期間が10年以上の軽減税率の特例

10年を超える期間所有した居住用不動産を譲渡した場合、本来15%の所得税がかかるが、譲渡所得が6,000万円以下であれば、所得税が10%に軽減されます。

この「3,000万円の特別控除の特例」と「所有期間が10年以上の軽減税率の特例」は併用することが可能です。

つまり、所有期間が10年以上の居住用不動産を売却して譲渡所得が5,000万円だった場合は、そこから3,000万円を控除して、残った2,000万円にさらに軽減税率の10%が課税されます。

 

買い替えの特例

特定の居住用不動産の買い替えの場合の長期譲渡所得の課税の特例とは、居住用の不動産を売却して新たに居住用不動産を購入した場合に売却価格に応じて課税を繰延する制度です。

買い替えをしなければ譲渡所得に課税されてしまうのですが、居住用不動産の買い替えをすることによって課税を先送りさせることができるため、結果として不動産の売却と購入を促進することになるということです。

この制度は他の特例制度と併用をすることができないため注意が必要です。

 

譲渡損失がでた場合の特例

分離課税の譲渡損失は原則として損益通算することができません。

しかし、居住用不動産の譲渡損失は一定要件を満たして場合に損益通算されて、さらに控除しきれない金額は翌年以降3年間に渡って所得から控除する特例です。

【次のページ】から収益物件を売却した際の確定申告について解説していきます。